マーケティング・スタッフには「分析力」が重要であるという指摘をよく耳にする。市場の変化から新たなビジネスチャンスを発見しよういう掛け声も再三聞こえてくる。言葉では理解できるが、早々新たな機会が見つかるものでもない。
確かに、さまざまな変化を見るにあたって、大きな全体をつかまえることはなかなか難しいもの。顧客の好みや評価の声を分析する、といった時には、先ずは細かく分ける作業からはじめる。「顧客細分化」の始まりである。世の中の動きは、顧客の変化だけで全てが語られるわけではない。競争相手も動いている。そこで、業界の動きを細かく分類して、個々の変化を見ようとする。業界分析や競合分析といわれるアプローチである。細かく分けた状況について数値や事実を並べると、何となく自分なりに納得をしてしまい、これで「分析」は出来たと思ってしまうスタッフもいるようである。
しかしそれは、単にある状況を整理したに過ぎない。細やかに分けることは、作業の効率を高めることにはなるが、「部分最適」の解を求めていることになってしまう。マーケティングで必要なことは、市場全体が今どのように動いているのかという「全体最適」の解を求めることである。「分析」と対になる視点が必須ということになる。
「分析」の反対語は何か・・・・?なかなか浮かんでこない言葉の一つではないか。そもそも、反対語を思い浮かべるのも案外難しい。小学生の頃に、「高い」の反対語は何かという問いに対して、「低い」と答えた者と「安い」と答えた者で教室が二分されたことがある。共に正解である。
であれば・・・、「分析」の反対は。実は「総合」である。細かく分けたならば、今度はそれらを統合して総合的に見ること。マーケティング・スタッフにはこの両面の見方が求められている。調査スタッフがよく専門家的な思考の溝に落ち込んでしまうのも、実はこの「分析」と「総合」の両面がバランスしていないときに起こる落とし穴である。
2009年6月13日土曜日
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