初めて出会った人と会話をするとき、人は相手の何を見てその人となりを見極めていくのだろうか。お互いが知り合うと会話も弾む。知らぬもの同士だと、いらぬ気遣いをして会話が終わってからも何とは無しの疲労感が残ったりもする。
ビジネス慣行として、先ずは名刺交換をしながらお互いの名と所属を語り合う。自分の担当している職務内容を、かいつまんで説明する。今までのキャリアをとうとうと述べる人もいる。聞いていて疲れる。そんな時、相手の「なり」を見ることがある。何も高価そうなスーツを着込んでいるとか、いかにも不釣合いなネクタイをしている・・・といった見方ではない。「なり」とは「形」であり「態」である。その人の外観が醸しだしている雰囲気とも理解できる。カタチを見ていると、その人の背景までが読み取れるものである。例え元気そうな顔をしていても、その場に不釣合いな「なり」をしていると、却ってしらけてしまうこともある。顔は笑っていても、その「なり」からは本心とは思えないといったこともある。
あわせて、人は相手の「ふり」も見る。どのような振る舞いをするかの、細やかな目線である。「ふり」は「振り」であり「風」である。その時々の対応の姿勢とも解釈できる。たとえ身なりは良くとも、その場の雰囲気にそぐわない態度や行動は、その人の今まで歩んできたキャリアさえ想像させる。
その場で、いかに自分があるべきかを考えられない人は、それこそ「なりふり構わず」勝手な行動をとってしまうことになる。
現在のマーケティングは、単一財の交換を論ずるに止まらず、人と人、企業と人との関係密度を論ずるようになってきた。今まで以上に、その場に適合した「なり」と「ふり」が、企業にもビジネスマン個人にも問われる時代である。
2010年3月20日土曜日
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