マーケティングが日本のビジネス界に登場して半世紀強。最近は、これといって新しく体系化されたマーケティング理論に接することが少なくなっている。コトラー、レビットそしてドラッカーと、先人の残したマーケティング理論を今の時代に置き換えて解釈する動きが多く見られる。それだけに、今世紀のマーケティングを自分の頭で考え、生み出す個人的な脳力への注目度が高い。
ある現象を整理しレポート化する力は、過去のモデルを参考にして分野的なスキルを高めれば対応可能であり、まさに「こなすべき技能的な能力」。見えてくる現象から、未来を仮説していくのに必要になるのは「共感を呼ぶ言語的な能力」。そして、計画を実行に移すべく詳細な行動計画にまで進めるためには、個人が持つ「信頼を得る人間的な能力」。同じ機能(能力)を発揮するにも、ビジネスの広がりや深まりにより求められるものが異なる。
一方ビジネスを進める際に、他人は相手の能力を測りながら関係密度の深まりを計っている。上辺の関与を基本にしてこれを繰り返し、その能力を便利に使おうとする関係もあれば、何事かあれば相談相手としてヒントを得ようとする関係。そして、更に深く恒常的な相談相手として頼る関係。最初のものは作業関係であり、次が業務関係、そして次の深さが人間関係である。ヨコに広がるビジネスのレベルを強固な関係にするためには、自分自身のこだわりや想いを、ビジネス実行のプロセスにどれだけ込めることが出来るかを問うことである。カタチだけではなく、プロジェクトを進めていく段取りに関する暗黙の知恵、いわば自分自身の業務適応力。それこそが上辺の技能力に流されない根源的な「脳力」と呼ぶものではないか。
「変」化が言われる時代。マーケティング・スタッフには、今まで以上に自らの「脳力」を高める行動力が問われている。
2009年1月2日金曜日
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